普段はあまり表舞台に出てこない、サナース内部の知られざる業務内容や社員の働きぶりなどについて、お届けする本シリーズ。

初回に取り上げるのは、「調達部」の仕事です。 調達部部長の藤井康文氏にインタビュー。入社8年目のベテラン組である藤井部長が、仕事への熱い想い、今後の展望などについて語ります(前後編の後編)。

メーカーとの信頼関係の築き方は?


サナースが取り扱っている機械メーカーは、現在20社(その多くがドイツのメーカー)。文化やビジネス習慣が異なる海外メーカーとの対応で、心がけていることはあるのでしょうか?

藤井部長「意外と普通のことですが、やっぱり『人として信頼してもらうこと』は大切ですね。欧米の人たちはドライだと思われがちですが、実は、友人のようにざっくばらんな付き合いを大事にしている部分もあります。

もちろん業務の話は妥協なくしっかり、きっちり詰めますが、例えば現地でのディーラーミーティングや展示会などで一緒になる場面では、仕事以外の趣味や家族の話なんかもしています。食事のお誘いなども仲良くなるチャンスですので、基本的には断らないですね(笑)

出張先での楽しい食事の様子

そうやって個人として親交を深め、信頼関係を築くことで、イレギュラーな案件にも対応してもらえるなど、プラスに影響している面もあると思います。

普段のオンラインなどでのやり取りでも、できるだけ密に接するように心がけていますし、たわいのないことも織り交ぜて会話することで、ベースとなる信頼関係を保てるように配慮しています」

以前は海外出張も多かった藤井部長。コロナでメーカーの担当者と会う機会が激減してしまいましたが、オンラインツールなどが発達した現在でも、直接会話してお互いの意思疎通を図ることは大切だと語ります。

藤井部長「細かいニュアンス的な部分は、やはり電話やメール、オンライン会議だと伝わりにくいと感じることが多いですね。会って話すとあっという間に伝わるのに……、もどかしいですよね。

コロナが一段落してきたので、私もまた積極的にメーカーを訪問してコミュニケーションを取っていきたいと思っていますし、メーカーの営業や技術担当にも、以前のように日本に来てもらって情報交換できるように、改めて体制を整えているところです」

2月には、ドイツ・ゼネボーゲン社、ドップシュタット社の社長が3年ぶりに来日しました。そのアテンドも藤井部長が行い、今後の方向性、協力関係などについて意見交換が行われたそうです。

あるメーカーの社長と役員が来日した際の様子

個人の信頼関係がベースとなり、会社としての強固な信頼基盤の構築につながっています。

社内の人材育成も大切


前編でも述べたように、調達部の仕事は海外メーカーへの直接的な対応だけでなく、社内の営業部や技術部社員とのやり取りも大きな割合を占めています。どのような方針で接しているのでしょうか?

藤井部長「私は基本的に社内にいることが多いので、営業や技術担当者が出張などから戻って出勤している場合は、できるだけ声をかけるようにしていますね。直接コミュニケーションをとれる機会は貴重ですから。

あとは、現在の大きな課題の一つは、『英語ができて、直接メーカーとやり取りできる社員を各部署に増やすこと』だと考えています。

現在、英語でのやり取りはすべて調達部が請け負っていますが、やはり3人程度だと手が回らないこともあるのが実情です。

こうした課題を解決していく第一歩として、適任者には英文のまま情報を手渡すなど、できるだけ任せてみるようにしています。難しい部分はサポートしますから、最初から完璧である必要はありません。まずは『やってみる』、そして『慣れること』が次につながると考えています。

こうして、実践のなかでやる気や能力のあるメンバーを育成しながら、少しずつ各部署で解決できることが増えれば、お客様へのサービス向上につながっていくと思うんです。

それが結果的に、会社を新しいステージに引き上げてくれると考えています」

サナースメンバーとの交流

社内の多くのメンバーと接する藤井部長の目には、「社員一人ひとりの成長が、会社としての成長につながっていく」という確信がありました。

今後やりたいのは「新しいメーカーの発掘」


藤井部長が今後、個人として力を入れていきたい分野をうかがいました。

藤井部長「完全に個人的な関心事項ですが、これまで取り扱ったことのない、新しいメーカーの情報収集をしたいですね! 腰を据えてヨーロッパに滞在し、片っ端からメーカー訪問をして、まだ日本に導入されていない機械を発掘・紹介していきたいです。

ヨーロッパの機械は、日本では真似できない(真似しない)アイデア満載のものが多いんですよね。日本メーカーは、ある程度の販売見込みが立たないものは作らないですが、ヨーロッパは良い機能だと思ったら、まずはそれを取り入れて作ってしまう。

ニッチな市場であっても、果敢に新しい機械作りに挑戦しているので、やはり良いもの、面白いものがそろっています。

サナースでは、昨年からドイツ・ノイエロ社製の荷役機器であるニューマチックアンローダーの取り扱いを始めたんですが、この手の大型機械は、日本メーカーは撤退してしまっていて、販売していないんです。

ノイエロ社のニューマチックアンローダーは、多くの国で使われていて、世界トップシェアを誇っています。国内マーケットに限定してしまうと非常に小規模かもしれませんが、ニッチな業界でも良いものを作れば世界中に販売していける、そこで勝負していく。僕は個人的に、そうしたやり方は非常に興味深く、魅力的だと感じます。

ノイエロ社製品のように、まだまだ発掘できていない素晴らしい機械があるのでは、と思うとワクワクします! そうした機械を探し出し、取り扱えるようになり、「ぶっ飛んだ提案=とびきり先進的な提案」ができるようになりたいんです。

ヨーロッパへの視察の様子

これまでも、お客様からいただいた問い合わせやご要望のなかに、非常に難しく、チャレンジングだと感じたものがありました。それでも簡単にあきらめずに、いろいろと調査を重ねて手を尽くすなかで、実現までこぎ着けたときは喜びもすごく大きかったです。そして、言いようもない達成感を得ることができました。これからは、そうした機会をもっと増やしていきたいです」

一方で、現在の会社の「足場」を固めることの重要性も語ります。

藤井部長「もちろん、現在取引している主要メーカーとの関係を、さらに強固なものにしていくことは大切です。そうした基盤を固めた上で、新しいチャレンジもできると、さらに成長していけるのではないかと思っていますね」

日々目まぐるしく業務に追われていますが、少しでも時間ができると、新しいメーカー探しをしているという藤井部長。その情熱が、多忙な毎日を支えているようです。

(おわり)



当社サナースは、約80人の社員が日々業務を行っています。
普段お客様の会社に直接伺っている営業部や技術部以外にもたくさんのメンバーが働き、サナースの屋台骨を支えています。

そんなサナース内部の知られざる業務内容や、社員の働きぶりなどについて、今年は少しずつみなさまにお届けしたいと思っています!

まず初回に取り上げるのは、「調達部」の仕事です。 サナースの調達部は、まさに「会社の中心」。お客様のご要望を可能な限り実現し、快適な環境を整備するお手伝いをすべく、全力でメーカーとの調整に当たっているのが調達部のメンバーたちです。

今回は、調達部部長の藤井康文氏にインタビューしました。入社8年目のベテラン組である藤井部長が、仕事への熱い想い、今後の展望などについてを語ります(前後編の前編)。



サナースにおける「調達部」の仕事とは?


一般的に、企業の「調達部」というと、商品などの仕入れにかかわるロジスティックスな部分を担当しているイメージが強いかもしれませんが、当社サナースの調達部は、商品の発注などにとどまらず、幅広い業務を手がけています。そして、「ありとあらゆる情報が集まってくる場所」だと藤井部長は話します。

藤井部長「一言でいうと、調達部は『(輸入する機械の)メーカーとの窓口』なんですが、その内容はものすごく多岐に渡っています。

例えば、営業担当がお客様のところへ機械の説明に行った際、「こんな使い方はできるか」などの質問を受けたとします。前例がない場合は連絡があり、調達部からメーカー側に確認することになります。

時には海外メーカに直接赴いて打ち合わせや会議を行います

また、すでに導入されている機械のトラブルや不調、故障などでも、その種類によってはメーカーに問い合わせる必要が出てきます。調達部がメーカーの技術担当者にコンタクトし、改善や修理の方法について情報を入手しています。 

さらに、新機種など発売前の情報収集も調達部で行っています。具体的にどのような使い方ができるのかや、これまでにないメリットなど、営業担当がお客様にしっかりと説明できるように、細部までメーカーに確認して資料にまとめていきます」

社内のさまざまな部署から日々問い合わせがあり、それら一つひとつをメーカーに確認しながら丁寧に対応するのが調達部の仕事。しかも、機械の販売前後だけでなく、販売に着手する準備も含めた、すべての段階に関わっているのです。

藤井部長「扱っている商品が海外メーカーのものなので、その窓口となる調達部に全ての情報が集約され、展開していくことになります。調達部が会社全体の『ハブ』になり、メーカーと(機械を使用している)お客様をつなぐ役割を担っていると自負しています」 


膨大な情報をハンドリングしてプロジェクトをスムーズに進行する


社内の情報基地になっているサナースの調達部。これらの膨大な業務を、藤井部長含め3人で行っています。日々の仕事を円滑に進めるために、どんなことがポイントになるのでしょうか?

藤井部長「必然的に扱っている機械にも詳しくなりますが、ただ多くの内容を知っていればいい、というわけではありません。何ていうか……情報の『勘どころ』をつかむことが大切で、自然とそうした部分が鍛えられていくんですよね。

営業や技術担当がお客様から聞き取ってきた内容をそのままメーカー側に伝えても、うまくいかないことがほとんどです。

調達部のメンバーが常に意識しているのは、言われたことを右から左に流すのではなく『必ず自分のフィルターを通してから伝える』ことです。必要な情報とそうでない情報をしっかり吟味した上で、十分でない場合は営業部や技術部の担当に『●●はどうなっているのか』『もう少し▲▲な情報が欲しい』など、何度も繰り返し確認してもらいます」

こうした作業は一見面倒なようですが、しっかりと情報を噛み砕き、整理して伝えることができれば、その後はとてもスムーズだといいます。 

藤井部長「きちんとポイントを押さえていれば、一度のやり取りで(メーカー側から)求めている回答が返ってきます。案件によっては、その後さまざまな準備や手配に移ることもありますが、そうした場合もこちらが詳細に指示することなく、自然にメーカー側が動いてくれるんです。
特に、機械を何台も同時に導入する大型プロジェクトでは、最初の情報収集が非常に重要となります。一歩間違えると、対応が後手に回っていろいろなことがうまく進まなくなってしまう可能性が高いからです。

用意周到に情報収集をした結果プロジェクトが軌道に乗り、成功を収めたときは、心の中でガッツポーズしていますね(笑)」

海外出張は大好きな仕事の一つ、という藤井部長。

同様に、社内にメーカー側の情報を伝える場合も、「噛み砕いて伝える」ことは必須になるといいます。あやふやな部分を確認し、しっかりと理解できるまでやり取りを続ける。とても地道な作業ですが、ここを飛ばしてしまうと結局二度手間になり、お互いに疲弊してしまうそうです。

 こうした情報のハンドリングが、調達部の難しい部分であると同時に、やりがいにもつながっています。


コロナ禍での変化 「コミッショニング」を通して増えたお客様との関わり


営業部のように、直接お客様と関わってやり取りする機会が少ない調達部ですが、数年前からは機械導入時の試運転などを行う「コミッショニング」に同行するようになりました。 

藤井部長「以前は、新しい機械の導入時に必ずメーカーの技術者が来日し、基本的な使い方などをレクチャーしてくれていました。しかし、コロナで入国できない時期が続き、苦肉の策として、オンラインツールでメーカーの技術者とお客様をおつなぎし、やり取りしていただく、という方法を採用してきました。

その際の通訳を、調達部のメンバーが行ってきました。通訳といっても、単に英語ができるだけでは不十分で、専門用語やそれに関連知識がないと、技術者と会話するのは難しいんです。最初はなかなか大変でしたね。とはいえ、いろいろ工夫しながら、何とかやってきましたし、現場や機械についてこれまで以上に理解を深めることができました」

実際のコミッショニングの風景

以前から、営業担当のサポートなどでお客様と直接お会いする機会はありましたが、定期的にコミッショニングに参加するようになり、新たな発見もあったといいます。

藤井部長「実際にお客様が機械を使う現場を訪ね、据付けから試運転までに立ち会うと、これまで間接的に聞いていたお話や要望などについても、『こういう意味だったのか!』とより深く納得できました。それを踏まえて改めてメーカー側と調整することもしていますし、よりお客様の視点に立った対応につなげていければと考えています。

それに、新しい機種への入れ替えや増設などのケースは、すでに機械を使っていただいているので、直接感想などを聞くこともできます。先日も、追加導入してくださったお客様に、『これから使うのがとても楽しみだよ!』とお声がけいただき、とても嬉しかったですね。

これまでも、営業部を通してお客様の声はお聞きしてきましたが、直接お会いして『生の声』に触れる機会は少なかったので、モチベーションアップにもつながっています」

後編へつづく





苫小牧港には日本国内や世界各地から膨大な飼料原料やその他の食料が流入します。苫小牧埠頭株式会社様は生産性の向上と安定した荷揚げ作業の実現、そして持続可能な社会のためCO2排出が少ない点を考慮しSENNEBOGEN (ゼネボーゲン) 860Eを2020年に導入頂きました。
今回、苫小牧埠頭株式会社様にお話を伺ったので紹介します。


苫小牧埠頭株式会社様は、経営理念「物流イネーブラー(※)として地域・社会に貢献します」に基づき、北海道の食の産業発展に貢献する総合物流企業です。

苫小牧埠頭様は、倉庫業、冷蔵倉庫業、穀物サイロ事業、オイルターミナル事業を行い、苫小牧の他にも道内外に拠点を構え物流ネットワークを形成し、北海道の食の産業発展に貢献しています。
※イネーブラー:地域・顧客の発展や課題解決を可能とするうえで不可欠な存在。  縁の下の力持ち。

SENNEBOGEN 860Eを導入頂いたのは飼料サイロ事業部です。国内や海外から入ってくる飼料原料を一時保管し飼料メーカーに供給されています。
保有する穀物サイロは19万トンの貯蓄能力があり、国内第5位の規模を誇ります。

導入の背景

苫小牧埠頭様は元々、アンローダー 4機とクレーンで飼料原料の荷揚げ作業を行っていました。そのうちの一つのニューマチック式アンローダーが古くなり、その代わりの設備を探されていました。
最終的に、燃料使用量が少なくCO2排出量を減らせ環境にやさしい点、速く繊細な動きができる点をご評価頂きSENNEBOGEN製のマテハン機860Eを導入頂きました。

アンローダーとクレーンの役割を果たすマテハン機

苫小牧埠頭で資料を荷揚げするゼネボーゲンのマテハン機

「現在はアンローダー3機とマテハン機SENNEBOGEN 860Eでほとんどの荷揚げを行っています。860Eはアンローダーの代わりとクレーンの代わりの荷揚げの両方で使われています。
クレーンに頼る作業頻度が減ったのでその分の費用も節約できています。」 – 執行役員 林 誠司飼料サイロ事業部長

苫小牧埠頭㈱ 執行役員 林 誠司サイロ事業部長、SENNEBOGEN アジア・パシフィック Jason Jace Ang、苫小牧埠頭㈱ 860Eオペレーター
左から苫小牧埠頭㈱ 執行役員 林 誠司サイロ事業部長、SENNEBOGEN アジア・パシフィック Jason Jace Ang、苫小牧埠頭㈱ 860Eオペレーター

高い生産性

荷役体系の構築と860Eのオペレーションを担当する方によると

「ゼネボーゲンは、運転席から船倉内を直接見ながら荷揚げすることが可能です。合図マンに頼る必要がなくなります。合図マンの指示で作業するのと自分の目で状況を確認して作業するのでは作業しやすさが全く異なります。
また、ゼネボーゲンのアームとバケットは繊細な作業が可能で、自分が思い描く角度で、狙った場所の材料をピンポイントで掴めます。船底の隅々にある飼料原料も掴むことができます。
船内重機の底ざらい時間が大幅に減らすことができるので助かります。船内に重機がある状態で荷揚げをするのはオペレーターにとってはとても気を遣う作業なのです。」

またマテハン機860Eはタイヤ式で移動できるので岸壁を問わずに作業ができるので、港内の配船の自由度が増したそうです。

現在 Sennebogen 860Eのオペレーションは3名で行っており、2名育成中とのことです。
860Eの操作が簡単で人を育成しやすいという点は飼料原料を安定供給する上で重要だとおっしゃっていました。

苫小牧埠頭のマテハン機ゼネボーゲン860Eのオペレーターの皆様(上段)と販売を担当した北海道営業所 岩花支店長(下段右から2番目)
860Eのオペレーターの皆様(上段)と販売を担当した㈱サナース 北海道営業所 岩花支店長(下段右から2番目)

CO2排出量を減らし地球環境に配慮した荷揚げを

最後に林執行役員は
「SENNEBOGEN 860 E を導入することで我々が使用される燃料の量を減らすことができました。 エネルギー消費量の削減は、CO2 排出量の削減にもつながります。 CO2排出量を削減することは、当社にとって最優先事項です。当初、860Eは荷揚げを主として作業を進めてきました。現在は積み込み荷役も行っております。荷役方法のバリエーションも増えました。」
と語ってくれました。

荷揚げした飼料原料をトラックに積む苫小牧埠頭様のゼネボーゲン社製マテハン機860E
詳しい話を聞きたい方、是非お問い合わせください。